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「守ろう9条 紀の川 市民の会」第21回総会開催
稲正樹氏が記念講演
「守ろう9条 紀の川 市民の会」は6月8日、和歌山市・河北コミュニティセンターで第21回総会を開催しました。総会では、元国際基督教大学教授(憲法学)の稲正樹さんが、「平和的生存権の現在と将来~日本モデルを世界にひろげよう~」と題して講演をされました。
開会に当り代表の原通範さんは、「ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ攻撃はまだまだ続いており、アメリカのトランプ政権による無茶苦茶な関税引き上げは、世界の平和的・友好的関係の構築を妨害し、自国の保護主義政策へと世界の関係を閉ざしていく危険性をもたらしています」と挨拶されました。
(原通範代表の挨拶)
記念講演の後、総会議事に移り、萩田信吾さん(事務局長)から、「2024年度の活動報告」と「決算報告」が、「活動報告」では、「第20回総会」と「第21回憲法フェスタ」についての報告、会員拡大や宣伝活動などについて報告があり、続いて金原徹雄さんから「私たちを取り巻く情勢」の報告があり、原通範さんからは「2025年度取り組み課題」「予算案」の提案と「運営委員」の推薦があり、いずれも承認されました。金原徹雄さんの閉会挨拶で総会は無事終了しました。
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平和的生存権の現在と将来〜日本モデルを世界に広げよう〜
(稲正樹氏講演①)

安保3文書体制以降の戦争国家化の現状に対して、平和的生存権に基づく私たちの対抗構想をどのように考えていくか。日本国憲法前文は「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」と述べている。
裁判所による平和的生存権の採用を見ると、イラク平和訴訟名古屋裁判所判決は、「戦争や武力行使のない日本に生存する権利を直ちに具体的権利とみることは困難だが、平和的生存権は、全ての基本的人権の基底的権利であり、憲法9条は国民の平和的生存権を国の行為からこれを保障しようとするものであり、憲法第3章の基本的人権の各規定の解釈においても平和的生存権の保障の趣旨が最大限に活かされるよう解釈すべきことは勿論であり、…憲法9条に違反する国の行為により個人の生命、自由が侵害されず、侵害の危険にさらされない権利、9条に違反する戦争の遂行、武力行使の目的のために個人の基本的人権が制約されない権利が、憲法上保障されているものと解すべきである」と述べている。この判決は、平和的生存権を「基底的権利」と位置づけ、前文、9条、憲法第3章との連関の中で捉え、憲法9条に違反する国の行為によって個人の生命、自由が侵害されない権利だけでなく、侵害の危険にさらされない権利について言及している。
「憲法前文に『平和のうちに生存する権利』とされる平和的生存権は『戦争、軍備、戦争準備によって破壊、侵害、抑制されることなく、恐怖と欠乏を免れて平和のうちに生存し、平和な国と世界をつくり出していくことのできる核時代の自然権的本質をもつ基本的人権である』などと定義され、控訴人らも『戦争や武力行使をしない日本に生存する権利』『戦争や軍隊によって他者の生命を奪うことに加担させられない権利』『他国の民衆への軍事的手段による加害行為と関わることなく、自らの平和的確信に基づいて平和のうちに生きる権利』『信仰に基づき平和を希求し、全ての人の幸福を追求し、非戦・非暴力・平和主義に立って生きる権利』などと表現を異にして主張するように、極めて多様で幅の広い権利であるということができる。
平和的生存権は、現代において憲法の保障する基本的人権が平和の基盤なしには存立し得ないことからして、全ての基本的人権の基礎にあって、その享有を可能ならしめる基底的権利であるということができ、単に憲法の基本的精神や理念を表明したに留まるものではない。なお、『平和』が抽象的概念であることや、平和の到達点や達成手段・方法も多岐多様であることを根拠に、平和的生存権の権利性、具体的権利性の可能性を否定する見解があるが、憲法上の概念は抽象的なもので、解釈によって充填されていくものであり、例えば『自由』や『平等』すら、達成手段や方法は多岐多様というべきだとすれば、平和的生存権のみが、平和概念の抽象性のためにその法的権利性や具体的権利性の可能性が否定される理由はないというべきである。
しかし、平和は人権が保障されるための最大不可欠の条件である。戦争になれば、人権は紙屑同様にふみにじられる。民衆は物心両面の基本的自由をふみにじられる被害者であるだけでなく、他国の民衆の人権を侵す加害者の立場に身をおくことになる。戦争は二重、三重の意味で、人権の理念と本質的に相容れない。平和は人権が存立の最大不可欠の基礎条件であり、平和が失われれば、人権は内部から朽ち果てる。
しかし、人民は平和を権利として要求できなかった。人権は、平和が確保された場合にのみ保障されるものだが、平和の確保は、人民自身の直接の要求ではなく、代表者まかせにしてしまった。そこで奇妙なことが起きる。それは人権は条件つきの絶対権だということだ。
(526号につづく)
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総がかり行動実行委員会「19日行動」に700人

総がかり行動実行委員会は5月19日夜、「戦争できる国づくりを許さず、選択的夫婦別姓を実現しよう! TheEND自民党政治5・19国会議員会館前行動」を行い、700人が参加。大軍拡反対署名18万836人分、憲法改悪反対署名など17万1232人分を国会に提出しました。日本共産党の倉林明子参議院議員、立憲民主党の有田芳生衆議院議員、社会民主党の福島瑞穂参議院議員、沖縄の風の高良鉄美参議院議員があいさつ。韓国からの連帯メッセージが紹介されました。
総がかり行動実行委員会の菱山南帆子共同代表が主催者あいさつ。はじめに自民党の西田昌司参議院議員による沖縄戦の史実をゆがめる発言に抗議。「能動的サイバー防御法案が成立、学術会議法人化法案は参院で審議中だが、両方とも戦争に加担させるための法案」と批判。選択的夫婦別姓は「今国会で審議に踏み出せない厳しい状況。選択的夫婦別姓反対と軍拡賛成の勢力は一致している。都議選で裏金議員、参院選で選択的夫婦別姓反対の候補を落選させよう」と呼びかけました。
千葉大学の栗田禎子教授は、学術会議法人化法案について「憲法23条の学問の自由を破壊するだけでなく、思想・信条の差別、言論の自由を公然と否定するもので憲法違反の法案だ。衆院は通ったが、引き続き人間の鎖行動などを行うのでご参加いただきたい」と呼びかけました。
自由法曹団事務局長の山添健之弁護士は、能動的サイバー防御法案について「市民監視法案であり、ネット上の93%以上が監視の対象になる。自衛隊や警察が情報を取得すると警察が住民の個人情報を収集し、業者に提供するようなことが起こりうる。引き続き廃止にむけ声をあげていこう」と訴えました。
(憲法共同センターNEWS 5月20日第524号より)
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【九条噺】

「アサギマダラ」という蝶を知っておられる方は多いと思うが、生きた実物を見た方は少ないだろう。筆者も見たことがない▼成虫は翅(はね)を広げると10㎝ほど。翅の内側は白っぽい半透明の水色で、黒い翅脈が走る。「浅葱(あさぎ)」とは青緑色の古称で、蝶の名はこの部分の色に由来する。前翅の外側は黒、後翅は褐色で、ここにも半透明の水色の斑点が並ぶ▼この蝶は台湾、南西諸島、日本列島を春は北上、秋は南下する。その距離は直線距離で1500㎞にも及ぶという。アゲハチョウのように羽ばたかず、ふわふわと飛翔する。人をあまり恐れずよく目にするため人気が高い▼夏から秋にかけてフジバカマ(藤袴)、ヒヨドリバナなどのヒヨドリバナ属の花によく集まり、吸蜜する。6月2日の紀伊民報に、春に花が咲くスイゼンジナに、紀南で今飛来しているという記事があった▼筆者宅から徒歩15分ほどの所にアサギマダラ愛好家がおられ、その方の庭の藤袴に4年前から10月半ば頃に来るようになったそうだ。なかなか来ない時は葛城山に出かけ、ヒヨドリバナに来るのを見に行くとのこと▼その方から藤袴の苗をいただけるとのことで、妻が6鉢分いただき、植木鉢で育てているところ。花が咲いたら我家にもアサギマダラが来てくれることを期待している。年々増え、美しい人気の蝶に会える平和で感動的なその刻の訪れを楽しみに待っている。(南)
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日本学術会議 軍事的安全保障研究に関する声明
(17年3月24日)
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「日本学術会議解体法」は可決されてしまいましたが、それに反対する日本学術会議の「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」という声明をご紹介します。
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日本学術会議が1949年に創設され、1950年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を、また1967年には同じ文言を含む「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発した背景には、科学者コミュニティの戦争協力への反省と、再び同様の事態が生じることへの懸念があった。近年、再び学術と軍事が接近しつつある中、われわれは、大学等の研究機関における軍事的安全保障研究、すなわち、軍事的な手段による国家の安全保障にかかわる研究が、学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあることをここに確認し、上記2つの声明を継承する。
科学者コミュニティが追求すべきは、何よりも学術の健全な発展であり、それを通じて社会からの負託に応えることである。学術研究がとりわけ政治権力によって制約されたり動員されたりすることがあるという歴史的な経験をふまえて、研究の自主性・自律性、そして特に研究成果の公開性が担保されなければならない。しかるに、軍事的安全保障研究では、研究の期間内及び期間後に、研究の方向性や秘密性の保持をめぐって、政府による研究者の活動への介入が強まる懸念がある。
防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」(2015年度発足)では、将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って公募・審査が行われ、外部の専門家でなく同庁内部の職員が研究中の進捗管理を行うなど、政府による研究への介入が著しく、問題が多い。学術の健全な発展という見地から、むしろ必要なのは、科学者の研究の自主性・自律性、研究成果の公開性が尊重される民生分野の研究資金の一層の充実である。
研究成果は、時に科学者の意図を離れて軍事目的に転用され、攻撃的な目的のためにも使用されうるため、まずは研究の入り口で研究資金の出所等に関する慎重な判断が求められる。大学等の各研究機関は、施設・情報・知的財産等の管理責任を有し、国内外に開かれた自由な研究・教育環境を維持する責任を負うことから、軍事的安全保障研究と見なされる可能性のある研究について、その適切性を目的、方法、応用の妥当性の観点から技術的・倫理的に審査する制度を設けるべきである。学協会等において、それぞれの学術分野の性格に応じて、ガイドライン等を設定することも求められる。
研究の適切性をめぐっては、学術的な蓄積にもとづいて、科学者コミュニティにおいて一定の共通認識が形成される必要があり、個々の科学者はもとより、各研究機関、各分野の学協会、そして科学者コミュニティが社会と共に真摯な議論を続けて行かなければならない。科学者を代表する機関としての日本学術会議は、そうした議論に資する視点と知見を提供すべく、今後も率先して検討を進めて行く。

学術会議解体法案に反対し、参院議員会館前に座り込む学者ら。(2025.06.04)
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