――――――――――――――――――――――――――――――
[本文から]
広島市被爆体験伝承者・尾形健斗さんの話
平和のための戦争展わかやま2025

7月19日、「平和のための戦争展わかやま2025」が開催され、広島市被爆体験伝承者の尾形健斗さんは次のような内容を話されました。
母方の祖父松原昭三は、昭和3年に生まれ、16歳の夏に広島で被爆した。祖父が90歳を超える頃、平成24年度から広島市の「被爆体験証言者・伝承者」制度が始まり、体験をぜひ伝えたいと私も伝承者に加わった。以下は祖父が長時間語ってくれた被爆体験だ。
日中戦争が始まり13歳年上の兄が出征すると、おじさんの家に寄宿して工業学校に通学することになった。しかし学徒動員で軍需工場に通うことになり学校に行けなかった。次に空襲に備えて燃え易い建物を壊す「建物疎開」が始まり、広島市内の問屋街に動員された。昭和20年8月4日に一日の特別休暇が出て、東広島の白市駅まで最終列車に乗った。5日に墓参を済ませ、6日朝に広島市に戻る切符を求めたが、おばさんが午前7時、私が10時の切符を割り当てられた。おばさんの出発後の午前8時15分に広島市に原爆が投下されたことは後で知った。その時の白市からは広島市の方角に黒いものが立ち込め、何か大変なことが起きたらしいと思った。10時の列車は何度も停車し、通常なら1時間15分のところ4時間後に広島の2つ前の駅に到着。市内への立ち入りは禁止されていた。やむなく引き返したが、翌日から立ち入りできるようになった広島市内へ、おばさんを探しに行った。広島駅から電車道の痕跡を伝って爆心地付近を経由して反対側の舟入本町の家の跡に行くと、地下に蓄えた米まで焼けており、おばさんは見当たらない。その後何度も広島に行き来しておばさんを探した。おばさんの娘(従妹)が心細がるのを見ていられなかった。市内は至る所に人の死骸があり、水を求めて川の中や用水桶の側で息絶えた死骸もあった。防空壕住まいの人もいた。原爆投下当日、建物疎開に動員された学徒たちも犠牲になった。死骸をまとめて焼く臭い、また当時交通輸送に使われていた馬の死骸も腹が膨れ腐りつつあった。救護所のテントから苦しむ声と臭いが立ち込めた。
以上のような祖父の被爆体験に続けて健斗さんが付け加えた後日談です。おばさんは身寄りの所に避難して無事だったことが判明し喜びの再会を果たせたこと。祖父は原爆症を発病せず、建築関係の公務員として社会貢献したこと。外国人との交流で挨拶しあえる人同士だと実感し、戦争は不幸であり核兵器使用が取りざたされる現状を心配している。(柏原)

---------------------------------------------------------------
九条の会全国交流集会開催②
第9回九条の会全国交流集会の内容を再度「九条の会ニュース」よりお知らせします。

6月28日、オンライン形式で、第9回九条の会全国交流集会が、事務局の山田聡美、小澤隆一の司会で、86名が参加して開かれました。
冒頭、小森陽一事務局長から「事務局からの報告」がありました。ここでは、九条の会の運動の歩みを振り返った後、とりわけ、岸田政権が「安保3文書」に基づき開始し、石破政権に引き継がれている憲法破壊と明文改憲の動きが指摘され、「こうした憲法破壊と明文改憲策動の2つの危険な動きをしっかりと見すえ、これらに対してきっぱりと反対」することが強調されました。報告は最後に、トランプ政権の下、ウクライナ、ガザなどで戦火が拡大している現在、「世界の平和を希求する市民と手を繋ぎ」「アジア太平洋の平和を実現する」ことが、九条の会もその一翼を担う日本の市民の運動の課題だと指摘しました。
続いて、それぞれの会の活動と課題について、途中休憩を挟み、全国13の会から発言がありました。2つの会からは、zoomでの発言に代えて資料と文書での発言がありました。全部を紹介することはできませんが、いくつか紹介します。
1つは、いろいろな会が継続している活動について、さまざまな貴重な経験が報告されました。ニュースの発行に関して、「西神ニュータウン9条の会」では毎月発行のニュースが330号に達し、そのニュースを250名の会員の自宅にポスティングしていることが、また「みやぎ憲法九条の会」では毎月2回eメールニュースを発行して440号になっていることが報告されました。
2つ目、若者たちにどう平和への取り組みを受け渡していくかが多くの会の強い関心事ですが、みやぎ憲法九条の会からは、25年の「20歳を祝う会」向けにリーフレットを作り配布する活動が紹介されました。「さくら志津憲法9条をまもりたい会」では、佐倉市の高校門前でのビラ配布活動を続けている活動が、また、「第九条の会ヒロシマ」からは、他団体と協力して実行委員会を作り「ヒロシマが再び『軍都』になるの? ― 高校生たちと共に考える私たちの未来」という集会を企画していることが報告されました。
3つ目、九条の会が取り組んでいる活動では、「九条の碑」を作る活動に取り組んできた「千住九条の会」から、多くの団体が参加して除幕式が行われたこと。続いて、「9条を世界に贈るプロジェクト」として世界26ヵ国、50団体に「九条プレート」を贈る活動が、紹介されました。「上小地域九条の会連絡会」でも九条の碑を作った活動が報告されました。また、「第九条の会ヒロシマ」では、「憲法9条は広島の誓いそのものです」という意見広告を出発点に毎年8月6日に意見広告を行なっていること、今年は、「○○○が私の安全保障」と題して、市民から「わたしの安全保障はこれだ!」を募集する活動を行っていることが報告されました。
第2部の冒頭に、事務局の高田健から「憲法審査会の状況」と題して報告がありました。ここでは、昨年10月の総選挙で、自民党が大敗し、自公、維新の会などの改憲勢力が3分の2を割り込み、衆院の憲法審査会の構成も大きく変わったことにより、明文改憲を強行しようという岸田政権、石破政権の思惑に狂いが生じていること、改憲派の本命である、9条への自衛隊明記、緊急政令改憲を強行することが困難となり、改憲派が先行させようとしている、緊急事態における議員任期延長改憲も、参院自民党の反対でスムーズに行かず、野党と市民の力で自民党の改憲策動にブレーキがかかったこと、そこで石破政権は、実質改憲に全力を集中し、戦争する国づくりを目指し、敵基地攻撃能力、基地強化などを加速化しており、この実質改憲に反対する運動が焦眉の課題であることが強調されました。
九条の会の世話人からも3名の参加と発言がありました。池内了さんからは、トランプ政権の誕生で今や世界は異常な状態となっているが、それだけに、憲法9条の大事さが改めて強調されねばならない。アメリカによる「力による平和」のおかしさを訴えねばならないと発言がありました。清水雅彦さんからは2つの点が強調されました。1つは、先の選挙での自公過半数割れの結果、明文改憲より実質改憲が進んでいることを踏まえ、それと闘う九条の会運動の踏ん張りどころを迎えているという点です。もう1つは、改憲を阻止する運動において、「労組と市民と野党の共闘」を土台に野党共闘が成立し、それが国政選挙において立憲野党の統一候補を当選させてきたことを踏まえ、共闘の意義を改めて強調し、都議選での候補者調整の成功の経験を今度の参院選でも全国に広めるべきだという点です。伊藤千尋さんは、伊藤さん自身の精力的な活動も相まって九条の碑が全国に急速に広まった経緯を振り返り、九条の碑の建立運動の意義として、「現在の社会を変え、将来平和な世界を作るため」九条を目に見える形にして九条を市民がアピールすることにあることを力説しました。
オンラインでの全国交流集会は初めての経験でした。集会に関してはたくさんの感想が寄せられ、改善点も指摘されました。それらを参考にしながら、改憲、憲法破壊の攻勢に対し今後も機敏に立ち上がるため、交流の場を設けていきたいと思います。
---------------------------------------------------------------
【九条噺】
参政党の神谷宗幣代表は選挙演説で「バカだ、チョンだ」と発言した。「チョン」は韓国・朝鮮人への差別用語。何度も言うのは差別用語だと知っていながら、その意識がないという証明だ▼そんな神谷代表が率いる参政党が参院選で14議席を獲得した。同党は、憲法を一から作り直す「創憲」を提唱している。「法の下の平等」や「思想・信条の自由」など、個人の権利や自由に関する記述がないなど、極めて危険な憲法案だ▼前文では、「天皇はいにしえより国をしらす(統治なさる)こと永久」とし、「これが今も続く日本の国體である」と明記している。日本は天皇主権国家だとの宣言だ。三権の長の任命、憲法、法律、条約の交付等は天皇が裁可するとされ、天皇主権国家の姿を明らかにしている。現憲法が強調する「人権尊重擁護義務」もない▼要は明治憲法と同じで、明治憲法下、日本は大日本帝国として暴走し、悲惨な敗戦をもたらした。その歴史的教訓に学んで、現行憲法は国民主権、人権尊重、平和主義の三大原則を採用し、そのもとで日本は民主主義国家として奇跡的な復興を遂げた▼さらに稀代の悪法・治安維持法について「共産主義者には悪法。共産主義を取り締まるものだから」とあからさまに正当化している▼まさにトランプ米大統領の小型版とも言えそうだ。外国人排斥問題をはじめ、大問題をここにはとても書ききれない参政党だが、我々は何としてもその正体を多くの人々に伝えていかねばならない。(南)
---------------------------------------------------------------
みなべ「九条の会」156回目のピースアピール

みなべ町は梅の町。5月10日の実施から梅取り休みをしていましたが、2カ月ぶりのピースアピールを7月19日に行いました。暑い中12名が参加し、憲法9条の大切さや翌週に実施するミニ映画会の紹介など、近くの店の買い物客や道行く人に訴えを届けました。(事務局長・井戸保さんより)
---------------------------------------------------------------
書籍紹介 『幸福の憲法学』

日本国憲法は国民の「幸福を追求する権利」を保障する。しかし、幸福とは個人が自ら追求するものであり、外部から与えられるものではない。では、憲法は幸福に対して、どのような姿勢をとっているのか。自由や人権、家族制度、同性婚、プライバシー権、選択的夫婦別姓、健康、共同親権、マイノリティへの差別意識など様々な問題を、憲法に書かれた言葉と向き合い解きほぐしていく。
********************************************
著 者:木村草太(きむら・そうた)
憲法学者、東京都立大学大学院教授
判 型:新書 208ページ
定 価:880円+税
発売年月日:2025年4月7日
出 版 社:㈱集英社
電話 03-3230-6391(新書編集部)
|