「九条の会・わかやま」 533号 発行(2025年10月16日付)

 533号が10月16日付で発行されました。1面は、『参政党』とはどういう政党か? 「和歌山県革新懇」学習会開催、みなべ「九条の会」158回目のピースアピール、九条噺、2面は、 天皇制への回帰に、再軍備をうたう 「新日本憲法(構想案)」を読む ② 清水雅彦・日本体育大学教授(憲法学者・九条の会世話人)、書籍紹介 『混迷する憲法政治を超えて』  です。
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[本文から]

『参政党』とはどういう政党か?
「和歌山県革新懇」学習会開催




 10月11日に「和歌山県革新懇」が実施した学習会で、桜田輝雄氏(阪南大学教授・全国革新懇代表世話人)が「『参政党』とはどういう政党か? ~その主張と急伸した背景から考える」と題して講演をされ、参院選での参政党急伸の背景を詳しく話されました。それに関係して前日10日の自公連立解消にも言及し、「自民が他野党との連立を試みても、裏金体質が続く限り野党は乗りにくい」と指摘してから本題へ入りました。
 前半は、自公連立の崩壊と野党新勢力の急伸を招いた原因は「国民の苦しさ」だとして、具体的なデータを示されました。GDPは世界2位から38位へ。大企業の内部留保は561.4兆円に増え、実質賃金は40.8万円減の417.6万円へ。消費税増税と社会保険料増で貧困率(15.4%)はG7諸国最低。中間層の貧困化が進む。物価高、子どもの貧困、過労など。アベノミクスで株高を演出し円安から物価高へ。農水予算削減。軍事費激増など。
 後半は参政党の諸側面について、「支持者の三つの層」「政策」「信念や政策の出所」「知識不足」などの側面から解明され、最後に「参政党支持層への向き合い方」を述べられました。具体的には次の通りです。 
 【支持者の三つの層】①反ワクチン・オーガニック(無農薬)・スピリチュアル・陰謀論から入ったガチガチの信者=党員8万5千人・支持層2百万人弱。②自民党からの岩盤保守層=5百万人(別に国民民主へも5百万人)。③旧無関心層=自己責任論からの解放と陰謀論。
 【政策】①経済政策(集めて配るよりまず減税)=国民負担率の上限設定・積極財政へ転換・中小企業支援とインボイス廃止。②教育・食と健康・環境保全(日本人をはぐくむ)=教育改革:多様な選択肢、脱自虐史観/食と健康:化学物質に依存しない食と医療、国産オーガニック食材推奨、予防医療推進/環境保全:大規模太陽光発電や風力発電を問題視、次世代火力発電。③国防・外交(日本人を守り抜く)=全領域での安全保障:防衛装備・経済・食料/外国人政策の見直し:移民受け入れ制限、管理型外国人政策、外国人の土地買収企業と土地買収を制限/グローバリズムへの対抗。
 【信念や政策の出所】①かつて経済政策のバックは、三橋貴明・藤井聡・倉山満。「れいわ新選組の丸パクリ」との評も(古谷経衡)。②種々の陰謀論=「政党DIY」・オーガニック+反ワクチン・日本ユダヤ同祖論。③神社信仰がスピリチュアルとオーガニックを結ぶ=清らか・純粋。
 【知識不足】証拠のない噂を友達に話す。「ビルゲイツが金儲けのためにコロナウイルスをばらまいた」など。勉強の素材がYoutube動画の断片で「自分が選択した結果、たどり着いた真実」と信じる。「オールドメディアの情報を受動的に信じる人は愚か」と考える。また、神谷宗幣代表は昭和天皇が側室制度を廃止したことも知らなかった。
 【参政党支持層への向き合い方】①「排外主義」という分析を押し付けず寛容と包摂で。たとえば、和歌山の選挙応援で神谷氏は外国人問題には触れず、農業支援、郵便局公営化などだけ訴えた。和歌山の参政党支持者に「排外主義」批判は通じない。②若者が読み書きの力を付けるよう助ける。③居住外国人に日本語の読み書きを身に付けてもらうのは国家責任。
 以上のように参政党の諸側面を解明されました。(柏原)



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みなべ「九条の会」158回目のピースアピール



 10月4日、158回目のピースアピールを実施しました。  参政党の憲法構想案を紹介し、戦前に逆戻りすることの危うさや今後の改憲の動きに大きな影響を与えるのではないかと指摘し、人間の平等、人権と民主主義を守り抜くために今の日本国憲法を守り、いかす取り組みを強めていくことが大切であると呼びかけました。
(事務局長・井戸保さんより)

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【九条噺】

 彼岸も過ぎ秋らしくなってきた。秋と言えば、「秋の七草」だ。「秋の七草」は、「憶良らは今はまからむ子泣くらむ それその母も吾を待つらむそ」という歌で有名な山上憶良が『万葉集』に「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花」「萩の花尾花葛花なでしこの花をみなへしまた藤袴朝顔の花」と詠んだのが始まりという▼花を順に書くと、「萩、尾花(ススキ)、葛(クズ)、なでしこ(撫子)、おみなえし(女郎花)、藤袴、朝顔」となる。朝顔は今の朝顔ではなく、桔梗(ききょう)のことらしい。今は花も品種改良され、園芸品種は豪華で華やかなものも多いが、万葉の時代はこんな花が美しく感じられたのだろう▼この中に何故ススキ(薄)が入っているのかと思ったが、和歌山県有田川町の標高870mの「生石(おいし)高原」の斜面に大きく広がるススキの群生はすばらしく、憶良が数えたのも分かる気がする▼以前、この欄に書いた我家の藤袴の鉢植えは大きくなり、つぼみが付いている。果してアサギマダラは来てくれるか▼春にも「春の七草」がある。ところがこちらは花ではなく、「芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、菘(すずな・蕪)、蘿蔔(すずしろ・大根)」と食用の野草・野菜だ。新春1月7日に、「春の七草」を「七草がゆ」に入れて食べると、災いを除け、長寿・富貴を得られるということのようだ▼「平和の九草」もあってほしい。(南)

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天皇制への回帰に、再軍備をうたう
「新日本憲法(構想案)」を読む ②
清水雅彦・日本体育大学教授(憲法学者、九条の会世話人)

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『週刊金曜日』より。3回に分けて掲載します。今回は2回目。
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再軍備と徴兵制の復活か
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 改憲案20条は自衛軍の保持規定で、自衛権(限定していないので、全面的な集団的自衛権も含む)の行使を可能とし、軍事裁判所の設置もうたっている。これは日本軍と軍法会議の復活規定であり、憲法上日本が再び軍事国家になることを意味する。
 5条には「国民の要件は……日木を大切にする心を有すること」とある。これは愛国心の強制規定とも言えるが、「日本を大切にする心」を有しない人は「非国民」なのか。
 同じく同条には、「国民は……日本をまもる義務を負う」とあり、徴兵制につながる規定がある。現在、政府は徴兵制は憲法18条の意に反する苦役からの自由にも反するので違憲としているが、参政党の改憲案には意に反する苦役からの自由規定がない。
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ないに等しい人権規定
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 日本国憲法では第3章が人権規定で、第10条から第40条まである。世界で獲得された市民革命後の自由権も、20世紀以降の社会権も保障している。また、戦前の特高の反省から、主に刑事手続に関する人身の自由規定を諸外国以上に手厚く保障している。
 しかし、参政党の改憲案には、日本国憲法にある、幸福追求権、法の下の平等、公務員の選定罷免権、請願権、国家賠償請求権、奴隷的拘束・意に反する苦役からの自由、思想・良心の自由、 信教の自由、表現の自由、居住・移転・職業選択の自由、外国移住・国籍離脱の自由、学問の自由、生存権、労働者の権利、その他人身の自由がないのである。
 7条の家族規定は「家族は……互いに助け合う」とし、価値観の強制という復古主義的な側面と、公助後退、自助・共助強調の新自由主義的側面があるほかにも「婚姻は、男女の結合を基礎とし、夫婦の氏を同じくする」とし、同性婚も夫婦別姓も否定している。
 9条の教育規定では、歴史と神話、修身の教育は必修とし、教育勅語など歴代の詔勅や愛国心を「教育において尊重しなければならない」とまでうたっている。
 16条では、「報道機関は、偏ることなく、国の政策につき、公正に報道する義務を負う」としている。ジャーナリズムの役割には権力監視もあるのに、それを否定するのである。
 世界では在住外国人の地方選挙権を認める流れがあり、日本でも地方においては限定的に在住外国人の公務就任権を認めているが、19条は憲法の規定として両者を否定する。(つづく)

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書籍紹介 『混迷する憲法政治を超えて』



 日本国憲法の立憲主義、民主主義、平和主義の諸原則を守り発展させるために、対米従属のいびつな軍事大国化、クアッド(QUAD)・オーカス(AUKUS)と一体になった対中敵視政策、新自由主義の跋扈とグローバル化による地方の疲弊、分断と格差社会の急速な進行、世代間対立をあおるポピュリズム政党の進出など、憲法研究者23人による現代の混迷する憲法政治への提言!
【主要目次】
1.日本国憲法の平和主義の理念と試練(河上暁弘)
2.安全保障政策の大転換─安保3文書がもたらす世界(高作正博)
3.今あえて、「軍事によらない平和」を追求することの意義(三宅裕一郎)
4.防衛力の抜本的強化と九州地方への影響(青野篤)
5.沖縄と平和主義―「平和的生存権」からの考察を中心に(飯島滋明)
6.「民意」もしくは「憲法」か(石村修)
7.議会政治・憲法政治から見る安倍政治の総括―「レガシーを拒否する」主権者の権利(永山茂樹)
8.改憲論に対する憲法学的考察(植野妙実子)
9.劣化する民主主義と選挙制度改革の展望(小松浩)
10.「政治とカネ」の重大問題―裏金をなくす改革の必要性(上脇博之)
11.わが国における司法の果たすべき役割は何か(青井未帆)
12.憲法審査会における議論の現在(大江京子)
13.災害と憲法(根森健)
14.コロナ禍における安全・安心と自由(愛敬浩二)
15.出入国管理に対する憲法的統制の実現に向けて―2023年入管法改定を中心に(髙佐智美)
16.個人の尊重・平和的生存権・女性の政治参画―ジェンダーと人権をめぐる憲法学的考察(塚林美弥子)
17.靖国神社合祀拒否訴訟の検討(稲正樹)
18.ビラ配布の自由と憲法裁判―21世紀初頭における市民的自由の状況(成澤孝人)
19.マイナンバー制度とプライバシー―違憲訴訟で問題となったこと(水永誠二)
20.教育費無償化の改憲論(丹羽徹)
21.日米安保条約の終了―主権国家日本の回復のために(小林武)
22.憲法9条解釈の前提となるべき戦争記憶の探究―沖縄戦ポストメモリーと集合的記憶(麻生多聞)
23.平和的生存権と国際協調主義に基づく国際連帯活動―ガザ攻撃と日本(清末愛砂)
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編   者:憲法ネット103(憲法研究者と市民のネットワーク) 編 
判   型:A5判並製 328ページ
定   価:2800円+税
発売年月日:2025年10月3日
出 版 社:㈱有信堂高文社 東京都文京区本郷1-8-1
                TEL:03-3813-4511
                FAX:03-3813-4514

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