「九条の会・わかやま」 536号 発行(2025年11月27日付)

 536号が11月27日付で発行されました。1面は、ネタニヤフの「うそ作戦」で続くガザジェノサイド フリージャーナリスト・西谷文和氏①、SNSは私たちに何をもたらすのか 和歌山信愛短期大学・伊藤宏教授、九条噺、2面は、上富田9条の会 9の日スタンディング、未来に平和をつなげよう 和歌山・湯浅町で憲法フェスタ  です。
    ――――――――――――――――――――――――――――――
[本文から]

ネタニヤフの「うそ作戦」で続くガザジェノサイド
フリージャーナリスト・西谷文和氏 ①


******************************************
「守ろう9条 紀の川 市民の会」の「第22回憲法フェスタ」講演「紛争地から見た平和憲法~ガザ、ウクライナ、アフガンの今~」を3回に分けて掲載します。今回は1回目。
******************************************



 昨年2回イスラエルに行ってきた。ユダヤ教、キリスト教発祥の地で、エジプト文明とメソポタミア文明が起ったところだ。メソポタミア文明はイラクとイランでできた。日本は縄文時代で土器を作っていたが、この辺りでは城を造っていた。しかし、文明は古いが、国は新しい。100年前までは、この辺りはオスマントルコと言っていた。オスマントルコがドイツと組んで戦争に負けた。戦争に勝った国はイギリスやフランスとロシア。
 こんな大きなオスマン帝国が戦争に負けたので、戦争に勝ったイギリスとフランスは勝手に線を引いて、イギリスはイラクとヨルダンとパレスチナ、フランスはシリアとヨルダンとレバノンを占領した。北側をフランス、南側をイギリスが奪い取った訳だ。
 イギリスが占領したパレスチナにはアラブ人が住んでいて、アラブ人に国を作ってよいと許可を与えた。ユダヤ人は差別され、迫害され、殺されて世界中に散らばっていたが、ユダヤ人もこのパレスチナの地に集まって来ていた。イギリスはずるくて、ユダヤ人にも、イスラエルという国を作ってよいと許可を与えた。それ以前はアラブ人とユダヤ人は仲良く暮らしていた。ところが、アラブ人とユダヤ人は国の取り合いを始めてしまった。これが中東戦争で78年間ずっと続いている。
 20年前、この国に行って驚いたのは、ユダヤ人の政府が壁を造っていたことだ。アラブ人を巨大な監獄の中に閉じ込めるということをしていた。それ以前は、中学生らは学校へ歩いて10分程で行けたのに、この壁によって2時間もかかるようになった。こういうことを延々とやっているので、アラブ人の中に怒りがマグマのように溜まり、爆発するという訳だ。
 ヨルダン川西岸はファタハ(昔のPLO、アラファト議長)というグループが抑え、ガザはハマスが抑えている。ハマスは2年前に壁を乗り越えてテロを行ったので、ハマスをやっつけるということで、ガザの人々が殺され続けて、『ジェノサイド』になっているのだ。
 昨年3月に行った時のエルサレムの様子だが、エルサレムは東西に分かれ、東側のアラブ人が住んでいるところに、ユダヤ人の兵士が来て検問をしている。「通せ、通さない」で殴られたりしている。西側はみんなユダヤ人なので、検問所を作る必要はなく、東は戦争、西は平和だ。
 西エルサレムには、ユダヤ人であってもこの戦争を早く終わらせようとしている人々がたくさんいる。その背景には、戦争が始まった10月7日、ネタニヤフ首相の部下の国防大臣が「ガザの奴らは動物と一緒だから殺してもいい」と言った。それで、残念ながら、「ガザの奴らは早く殺してしまえ!」と言っている人もいて、この戦争で、ユダヤ人の社会が真二つに割れてしまっている。これまでガザで何人殺されているかというと、昨年の3月で3万人、今は6万7千人。平均1日で60人ぐらいが殺されている。
 昨年の今頃、ガザに行った。現在も皆殺し作戦をやっており、このような戦争が今も続いている。何故このような戦争が2年以上も続いているのか。それは、テレビや新聞などを潰して、インターネットだけにし、SNSのフェイクニュースの報道によって、ユダヤ人を戦争賛成に変えていった。ネタニヤフの作戦は『うそ作戦』だった訳だ。戦争は、今も昔も一緒だが、今は兵士がスマホを持っており、スマホで撮影して、それを仲間で回し合って楽しんで見ている。アルジャジーラ(放送)の記者たちがユダヤ人の振りをして、兵士の仲間に入って、ユダヤ人が殺す様子のSNSを1年分貯め込んで報道した。それでネタニヤフがアルジャジーラ憎しと、アルジャジーラ放送を潰した。イスラエルのユダヤ人はウソ映像を見ている。兵士が子どもたちに食べ物を配っているところを見て、イスラエル兵は悪いことをしていないと、信じさせられている。
 YouTube(SNS)の問題は、ウソでも何でも、たくさんの動画が回転すればするほど、みんなが見れば見るほど、儲かる。2~3分の動画を作り、ウソの情報がどんどん流される。ユダヤ人たちはどんどん見る。テレビや新聞は、さすがに裏を取る。もし間違っていたら謝る。でも、YouTube(SNS)の場合は言いっ放しだ。  もう一つの問題は『アルゴリズム』。お薦め動画が戦争賛成の動画の時、その動画を見たら、さらに「戦争賛成!」が高まる動画が入ってくる。そのように、動画を見れば見るほど、動画の情報の色の中に入ってしまい、真実は見えてこない。SNSでウソニュースを拡散することで、ウソを「真実」にしていき、「悪いのはアラブ人。アラブ人はどんどん殺せ」となる。ネタニヤフは「ウソで成功した」ということだ。
 11月に帰ってきたら、兵庫県でも同じことが起こった。兵庫県知事は知事選挙でフェイクニュースで勝利した。N党・立花孝志のYouTube動画に騙されて、「斎藤は悪くない! 悪いのは百条委員会」というSNSのウソニュース拡大で、斉藤氏が再当選した。トランプもそうだが、情報源をSNSだけにするというのは、非常に危ない。
 戦争は始める前に止めてしまわなければいけない。始まったらなかなか終わらすことができない。というのが戦争の特徴だ。(つづく)

    ----------------------------------------------------------------------------

SNSは私たちに何をもたらすのか
和歌山信愛短期大学・伊藤宏教授




 11月21日、学習講演会「メディアと権力=SNSが私たちに何をもたらすのか」で、和歌山信愛短期大学の伊藤宏教授は、私たちはどうすべきかについて話されました。
 民主主義の政治の仕組みには、主権者国民すべて平等に一人一票の議会制民主主義システムがある。議会制民主主義の必須条件は、主権者は代表者について知る権利、代表者は主権者に知らせる義務だ。ジャーナリズムの役割は、代表者をウォッチし、主権者に知らせる役割だ。しかし、代表者にはジャーナリズムの知らせる役割は目障りで、メディア規制の企図が続いてきた。政治家の動静を個人情報保護の名目で、報道させなくする規制だ。また、質疑で批判的な記者に質問を遮断したり、同調的な記者には陰で誘導情報を流すやり方だ。
 現代は情報が氾濫する時代。1日に受け取る情報量はSNSの登場で激増している。SNSの用途は「情報共有、情報収集、交友関係拡大、ビジネスへの活用」などがあり、便利な道具になっているが、問題点としては「フェイクニュースと信頼性低い情報発信、誹謗中傷と炎上、情報漏洩とプライバシー侵害、メンタルヘルスへの悪影響」も指摘されている。情報が拡散する「拡散スイッチ」で膨大化する一方、個々人は好みの情報だけに囲まれる「フィルターバブル」の弊害もある。有害情報は安易に法規制はできず、対策は「許さない」と宣言することだけだろう。
 選挙でSNSが利用される。躍進した国民民主党・参政党のチャンネル登録がずばぬけていた。早くから利用してきた共産党は投稿数は多いものの視聴数が少ない。情報氾濫の今こそジャーナリズムが奮起すべき時だ。(柏原)

    ----------------------------------------------------------------------------

【九条噺】

 東北・北海道を中心に、熊被害が相次いでいる。市街地で襲われるケースも多発している▼熊の主食は木の実や樹木、肉食は魚や昆虫だという。林野庁東北森林管理局は、冬眠に備えたツキノワグマの主な食料であるブナの実について、青森、岩手、秋田、宮城、山形5県で今年は「大凶作」だったと発表した▼5県全てが「大凶作」は人身被害が多発した23年度以来2度目とのこと。熊被害の原因はこれだけではないかもしれないが、これも大きな原因のひとつだろう▼昭和の時代、熊をはじめとする野生動物は、一度は絶滅寸前まで追いやられた。その後の「熊撃ち禁止令」やハンターの減少などで増加。並行して農作物への食害を及ぼすシカやイノシシを捕まえる「罠猟」を仕掛けたところ、その罠にかかった動物を食べることを熊が覚え、肉の味を知った熊は、住宅地近辺の里山にやってくるようになったのだという▼保護が叫ばれた後に生まれた熊は、人間を「恐ろしい存在」として認識しなくなったのかもしれない。また、農作物の「美味しさ」に気づいたり、罠にかかった害獣を食べた熊のなかには、家畜の味を覚えた個体も増えたのかもしれない▼筆者宅は紀の川北岸の和泉山脈につながるところで、熊やシカの生息は聞いたことがない。しかし、和歌山県の中・南部の山地には熊もシカも生息する。昨今の人身被害状況では熊、シカ、イノシシも適正な頭数を維持するために、駆除することは必要なことだと思う。 (南)

    ----------------------------------------------------------------------------

上富田9条の会、9の日スタンディング



 「上富田9条の会」は2015年9月の戦争法強行に抗議して、翌10月より毎月19日にスタンディングを実施していました。ロシアのウクライナ侵略以降は、毎月9日、19日、29日の月3回の行動をしています。場所は生馬橋交差点(交通量が多い・5分間で100台ほどは通る)で11時から30分間です。

    ----------------------------------------------------------------------------

未来に平和をつなげよう
和歌山・湯浅町で憲法フェスタ




 「平和だいすき憲法フェスタ(戦争展)」が11月9日、和歌山県湯浅町で開かれ、過去最高の約150人の参加があり、「未来に平和をつなげよう」と訴えました。
 有田中央高校吹奏楽部の演奏で開幕。講演した日本共産党の高田由一前県議は和歌山県白浜町にある南紀白浜空港が特定利用空港に指定され、過去最大規模の自衛隊統合演習が10月に実施されるなか、同空港で自衛隊機がタッチ・アンド・ゴー(連続離着陸)訓練を強行したと告発。1988年に日本共産党の野間友一衆院議員が同空港で繰り返される自衛隊訓練を国会で追及し、当時の知事が会見で「防衛訓練は認めない」とした方針(内規)を議会や県民に説明もなく転換したことを批判し、「軍事対軍事で平和は守れない。憲法9条にもとづく外交でこそ」と訴えました。
 会場では「南紀白浜空港が特定利用空港に」や「沖縄の今」「人間と原爆」などのパネルや絵手紙、戦争反対の短歌・俳句・川柳などの作品が展示されました。

    ―――――――――――――――――――――――――――――
(2025年11月26日入力)
[トップページ]